毎日食べるご飯がもっと美味しくなったら嬉しいと思いませんか?
「炊飯器のグレードを上げれば?」「やっぱりお米の銘柄次第?」——そんなふうに思っていた方に、ちょっと意外なアプローチをご提案したいと思います。
飲用温泉水を使って炊いたご飯は、ふっくらとツヤがあって、一口目から旨みがじわっと広がる。高級旅館の朝食で出てくるような、あの一杯が、自分の台所で再現できるのです。
実は、変えるべきは「水」だった。

編集長も毎日温泉水でご飯を炊いています
onsensuilab編集長も、毎日欠かさず温泉水でご飯を炊いています。今回は、その科学的な理由から、実際に試せるレシピまでを丁寧に解説します。
温泉水がご飯を美味しくする、3つの理由
温泉水が持つ特別な力が、お米一粒一粒に魔法をかけます。その秘密は、主に3つの科学的な特徴に隠されていました。
理由① アルカリ性の力——ふっくら食感の秘密
飲用として販売されている温泉水の多くは、弱アルカリ性。このアルカリ性が、お米のでんぷんが水分を吸収して糊化するのをスムーズに助け、芯までふっくらとした炊き上がりを生み出します。
佐賀・嬉野温泉の名物「温泉湯豆腐」が、とろけるように柔らかくなるのと同じ原理。アルカリ性の水は食材の組織を優しくほぐし、水分を隅々まで行き渡らせてくれます。
この現象は、嬉野温泉の名物「温泉湯豆腐」がとろけるように柔らかくなるのと同じ原理です 。アルカリ性の水が、食材の組織を優しくほぐし、水分を芯までしっかりと浸透させてくれるのです。
ラボからひとこと: pH9を超える強アルカリ性の水を使うと、ご飯がほんのり黄みがかることがあります。これはお米のポリフェノールとの自然な反応で、体への影響はありません。気になる方は、pH9以下のものを選ぶか、研ぎ水にだけ使うのがおすすめです。
理由② 超軟水の力——お米本来の甘みを引き出す
「温泉水99」や「財宝温泉水」「観音温泉」など、鹿児島や静岡を代表する温泉水は、日本の水道水よりもさらにミネラル分が少ない「超軟水」として知られています。
ミネラルが少ない水は、素材の味を邪魔しません。それどころか、お米が持つ繊細な甘みや旨みを、まっすぐに引き出してくれる。お茶やコーヒーが軟水で淹れると格段に美味しくなるのと、同じことがご飯でも起きているのです。
お茶やコーヒーが軟水で淹れると美味しくなるのと同じように、お米が本来持っている繊細な甘みや旨みを、超軟水が最大限に引き出してくれるのです 。
理由③ 浸透力の高さ——古米も新米のように
「温泉水99」や「観音温泉水」などは、水の粒子が細かく、浸透力が非常に高いとされています。その力で、お米の芯まで均一に水分が届く。パサつきがちな古米でさえ、まるで新米のような輝きで炊き上がるのは、この浸透力があってこそです。
土鍋との組み合わせが、最強な理由
温泉水の力を最大限に引き出すパートナーが、土鍋です。なぜこの組み合わせが最強なのでしょうか?
土鍋の「ゆっくり加熱」が温泉水の「浸透力」を最大化
金属の鍋と違い、土鍋はゆっくりと熱を伝えます。この「穏やかな温度上昇」が、温泉水の浸透力がじっくりと働く時間をつくる。お米の表面が固まる前に、水分が芯の芯まで届くから、炊きムラのない仕上がりになるのです。
また、土鍋は一度温まると冷めにくい。火を止めた後も鍋全体が高温を保つことで、アルカリ性の力が過剰に働かず、でんぷんが優しく糊化されていきます。べたつきを抑えながら、理想的なもちもち感を実現してくれるのが土鍋ならではの魅力です。
温泉旅館でその土地の温泉水と土鍋を使って炊いたご飯が振る舞われるのは、偶然ではない。温泉水 × 土鍋という組み合わせには、確かな理由があります。
今日から試せる、温泉水 × 土鍋の炊き方レシピ


さあ、理論はここまで。実際に、ご家庭で最高の一杯を炊いてみましょう!
今回は「温泉水99」を使用して炊いてみたいと思います。
【用意するもの】
- お米:2合
- 飲用温泉水:約400ml
- 土鍋(炊飯用でなくてもOK)
【手順】
- Step 1|研ぐ——最初の水が命
乾いたお米は、最初に触れた水を最もよく吸い込みます。ボウルにお米を入れたら、まず少量の温泉水で2〜3回やさしくかき混ぜ、すぐに水を捨てます。この一手間で、米ぬかの臭みが取れ、お米本来の風味がぐっと引き立ちます。その後の研ぎは、水道水で問題ありません。 - Step 2|浸水——美味しさの仕込み
研いだお米を土鍋に入れ、分量の温泉水(2合なら400〜440mlが目安)を注いで浸水させます。夏は30分、冬は1時間が目安。この時間がお米に旨みを蓄えさせます。 - Step 3|炊く——火加減をマスター
- 蓋をして中強火にかけます。10〜13分ほどで沸騰し、蓋の穴から勢いよく蒸気が出てきたら合図。そこから30秒ほどで火を止めます。香ばしいおこげをつくりたい場合は、火を止める直前に10秒だけ強火にするのがコツです。
蒸気が噴き出てから30秒ほどして火を止めます。
(お好みで)おこげ作り: 火を止める直前に10秒ほど強火にすると、香ばしいおこげができます 。
- 蓋をして中強火にかけます。10〜13分ほどで沸騰し、蓋の穴から勢いよく蒸気が出てきたら合図。そこから30秒ほどで火を止めます。香ばしいおこげをつくりたい場合は、火を止める直前に10秒だけ強火にするのがコツです。
- Step 4|蒸らす——10〜15分、触らない
火を止めたら蓋は絶対に開けずに、10〜15分蒸らします。余熱でゆっくりと水分が均一になり、ご飯が完成へと近づいていきます。 - Step 5|ほぐす——仕上げの一手
蒸らし終えたら蓋を開け、しゃもじで底からさっくりと混ぜて余分な水分を飛ばします。ツヤツヤに輝くご飯の完成です。


伊賀の粘土から生まれた土鍋。二重蓋で吹きこぼれにくく、火加減の調整もしやすい。深さがあるので煮物やローストにも使え、一生もののキッチンツールとしておすすめです。
FAQ よくある質問
まとめ
温泉水でご飯を炊く。それは、単に調理法を変えるだけでなく、大地の恵みを感じながら食事と向き合う、少し特別な時間です。
市販の飲用温泉水は、スーパーやインターネットで手軽に購入できます 。毎日食べるものだからこそ、まずは少量から、あなたの家の「いつものご飯」がどれだけ変わるか、実験してみませんか?
きっと、その美味しさに驚き、毎日の食事がもっと楽しくなるはずです。







